シーホース工房の表現創造は、通常の楽器のみならず、あらゆる音を駆使して表現・構築を試みる芸術活動です。
世界の民族楽器の中には西洋音楽の音階から逸脱するもの、あるいは音階の縛りから自由なものが数多く存在します。
地球的規模の視点を持てば、西洋音楽の外側にある音世界のほうが広大といえるのです。
独自の手作り楽器、生活用品から発する音、環境音、機械音、電子ノイズなども音楽の対象としてシーホースは捉えます。
それらを子供のような自由な発想で組み合わせ融合しながら音遊びをしてまいりました。
このような冒険が徐々に構築化され、音楽・音響・造形・映像・芝居が融合した創造物は
「紙芝居ミュージカル」として形を成し、多くの方に助けられて3度の舞台公演の機会を得ました。
「紙芝居ミュージカル」は、シーホース工房のユニークな総合芸術であり、科学と芸術の接点でもあります。
以下にこの発展の歴史、そして展望を示します。
黎明期の実験音楽セッション
既存の民族楽器と楽器ではない日用品とのコラボレーションで描き出す音宇宙。
自由と制約のぶつかり合い。伝統も流儀も楽典もない音楽。定めたのはストーリー。
ここでの経験と発見が3年後の「紙芝居ミュージカル」への礎となるのです。
紙芝居ミュージカルの誕生
シーホース工房が共同オフィスに入居して間もなく、紙芝居文化推進協議会さまとご縁により、紙芝居の魅力を再認識しました。
日本が生んだ紙芝居という2次元プラス音読の世界は、メディア技術の発展した現代でも魅力があせることがありません。
その魅力を残したままシーホース流に新しくて面白い要素を加味することができないものだろうか。
このとき前述の実験音楽セッションが頭をよぎりました。紙芝居プラス、ライブの音遊び。
さらには、朗読を残したままリアルの人間が配役を演じるという、紙芝居の3次元化。
この実験は、2017年に障がいのある人もない人も一緒に作るコンサートチャレンジ・ド・コンサートで実現することとなりました。
その後、同コンサート常連のパフォーマンス集団はっぱオールスターズを率いる星野英俊先生と運命的な出会いを遂げるのです。
星野先生はなんと、数々の素晴らしい作品を発表、受賞されている絵本作家であり、私たちもその作品に深く感銘しました。
その後、星野先生の作品を2作品ほど公演する機会を得て、今では先生もはっぱオールスターズもシーホースの仲間となりました。
最新の演目である「ミドリガメのライとハク」では、
演者の身体の動作を色光とメロディーに変換し
遠隔の電子楽器に無線で伝えて演奏制御するという
シーホース工房オリジナル楽器を駆使した演出が
内外に大きなインパクトを与えました。
内容、演出、そして完成に至るドラマも含め、
シーホースのアート活動の頂点をきわめたステージ経験となりました。
Motion MIDI Composer
紙芝居ミュージカルの稽古風景
これから取り組む新しいレパートリーも星野先生の作品。
「団地の泣きライオン」の先生自身によるプレゼンテーション。
配役を決め、テーマ音楽を作曲し、効果音のイメージ設計を進めてまいります。